手作りジャムが変えた朝時間|東京キャリア女性が選んだ「心満たす暮らし」

ジャムとわたしの、ささやかな物語



こんにちは、「畑とジャムと。」の内田朱美恵(うちだ すみえ)です。
こちらでは、私の暮らしの中で生まれた“物語”を少しずつ綴っていきたいと思います。
その連載の第一回です。


🟠 手作りジャムのある暮らし

東京で長く働いてきた私にとって、時間はいつも「埋めるもの」であり、食事は「効率よく済ませるもの」でした。

キャリアに集中していた頃、私の人生に“手仕事”や“自然”の入り込む余地はなかったのです。

そんな私の朝が、ひとさじの手作りジャムによって静かに、でも確かに変わっていきました。

きっかけは、料理好きで元ソムリエだったパートナーとの出会い。

そして、2020年に起きたコロナ禍を経て、私たちは人生の方向を静かに転換していくことになります。

🟢 彼がくれた果物と、“食べること”の価値

出会った頃から、彼は地元で採れた果物や野菜をよくプレゼントしてくれました。
食材に敬意を払い、美味しく食べる工夫を惜しまない彼の姿に、私は自然と惹かれていきました。

スーパーで買った食材を、丁寧に料理して、
ワインと合わせて味わう。

「ともに“食べる時間”を大切にする」という価値観は、
長年スピード重視だった私にとって、新鮮で深いものでした。

🟢 コロナ禍で見えた、“ない”暮らしの寂しさ

2020年、コロナ禍の影響で、東京の生活は一変しました。
人と会えず、外に出られず、自然や動物の気配のない日々。

私は気づいてしまったのです。
「このまま、“感じることのない毎日”では、生きていけない」と。

そんな気持ちを口にしたとき、背中を押してくれたのは彼でした。

両親にすら会ったことがなかった彼が、
「一緒に地元に帰ろう。これからのことを考えよう」と言ってくれたのです。

なんと彼は、私に合わせて働き方まで変えてくれました。

🟢 土と果物と手間と時間。変わっていく日常

父の実家にある別宅で、両親と私たちは農作業や庭づくりを始めました。
花を植え、木を植え、そして果樹を植えました。

世話をしながら過ごすうちに、あっという間に5年が経ち、2025年を迎えていました。

果物は年々、どんどん実るようになり、食べきれないほど。

「この果実を、最後まで美味しく活かしたい」
そんな思いから、私はジャム作りを始めたのです。

🟢 手作りジャムで整う心

鍋に果物と砂糖を入れて、煮詰める。
やわらかく甘い香りが部屋中に広がる頃、私は確かに癒されていると感じました。

都会で働いていた頃は、料理や保存食作りなんて“非効率”だと思っていた私が、
今はその“手間”にこそ、生きている実感を覚えるようになったのです。

朝、瓶からすくったジャムをトーストにのせる瞬間、
「今日も丁寧に始めよう」と心が整う。

そんな時間が、今の私にとってのご褒美になっています。


🟣 “ひとさじ”から暮らしは変えられる

東京にいた頃、
毎日を“埋めるように”過ごしていた自分が、
今は、空白を慈しむように朝を迎えています。

ジャムは、単なる保存食ではありません。
果物と、時間と、気持ちを詰め込んだ、わたし自身の記録なのだと思います。

自分のために、手間をかける。
そんな暮らしが、この一瓶から始まりました。

ひとさじの魔法が、あなたにも届きますように。


🌸
次回は、「“おいしい”には物語がある」というテーマで、
我が家のとっておきレシピに込めた想いをお話ししたいと思います。

どうぞお楽しみに。

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